九州方面の旅から一週間振りに帰って来た桃次郎とジョナサンこと金造は、北海道行き()のカーフェリーの出発時間を待つ間、川崎の金造の自宅に立ち寄った。ところが金造の妻・君江と9人の子供()たちは、現在の6畳一間の家では狭す()ぎ()るので金造()にもっと頑張って家を建て()てほしいと要求した。おかげで金造は、カーフェリーに乗ってもラウンジでア()ルバイトするはめになった。一方、桃次郎は暇()をもてあましていたのだが、美貌の女性・三()上亜希子()に一目惚れしてしまった。釧路に着いた桃次郎は、亜希子の顔が頭にこびりついてしまい他の女には目もくれないばかりか、港の魚市場で女トラック()運転手の()涼子を罵った。ところが涼子に惚れているカムチャッカの熊こと大野田太郎左衛門がこの事を()聞いて怒り、熊と桃次郎はたちま()ち大喧嘩になった。しかし喧嘩の腕は互()格のため、トラックで勝負することになった。だが、地の利に明るい熊に軍配()が上り、桃次()郎は北海道()を直ちに去る約束をした。その帰り道、桃次郎は亜希子と再会()し()た()。亜希子は静内の牧場の娘で、両親を亡くし女の身一つで牧()場を経営していた。亜希子にすっかり心を奪われた桃次郎は、熊との約束を忘れて、トラックはそっちのけで乗馬入門書にかじりつく始末。そんなある日、亜希子()が一番可愛がっていた仔馬が病気になり、獣医も見離してしまっ()た。そこで看病()をかって出た桃次郎は、仔馬とともに一夜を明かし、その甲斐があって奇()跡的に元気を取()り戻した。亜希()子は桃次郎のひたむきな献身振りに心を打()た()れるのだった。桃次郎は亜希子の感謝の言葉を背に釧路に戻った。とい()う()のも、桃次郎()が北海道に居すわったのは涼子との仲が原因、と熊が勘違いしていたからだ。だが、涼子が自ら熊に愛を告()白したため大事には至らなかった。桃()次郎は金造夫()婦()のすすめもあり亜希子にプロポーズしようとしたのだが、彼女には既に結婚()を約束()した相手がいることを知り、ガックリしてしまう()。そんな時、金造のア()ルバイト先の運送ブローカー・鮫田が金を持ち逃げしたため、荷が滞貨し、()金造が困り果てていた。見るに見か()ねた桃次郎は、金造を勇気づけると、自ら()ハンドルを握って、驀走するのだった。
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